航空会社がシャドウバンク? / 航空公司是影子银行?
(下面有中文翻译)
「小説 デジタル人民元」では中国の闇を支配するシャドウバンクとして四川省成都市に本拠を置く「パンダ航空」が登場します。
パンダ航空は本業の航空ビジネスだけではなく、不動産やリゾート開発、そして金融ビジネスへと事業を多角し、ついには世界最大のノンバンクに、のし上ったという設定です。それを支えたのは中央政府との強いパイプ。しかし金融当局がシャドウバンクへの監督強化に乗り出したことで経営危機が一気に、表面化。創業者がパリで不審死を遂げ、パンダ航空と深い関係にあった日本企業に激震が走り、、、というストーリー展開にしました。
中国にお詳しい読者ならすぐに、「パンダ航空のモデルは海南航空(HNA)だな」と、想像頂けると思います。(もちろん、小説はまったくのフィクションですので、実在の人物や出来事と海南航空とはまったく、関係がありません。念のため)
HNAは1989年に創業され、1995年にアメリカの投資家ジョージ・ソロス氏が同社株を取得してから一気に知名度が上がりました。
HNAはその後、本業の航空業から経営の多角化を進め、巨大なコングロマリットを形成します。ドイツ銀行やヒルトン・ワールドワイドなど名だたる海外企業の筆頭株主となり、その海外資産は120億元以上、国内外合わせた子会社は450社以上に上るとされます(小説の中ではフランスの航空会社を買収するくだりがありますが、これもHNAが実際に行った手法です)。
HNAの急成長を陰で支えたと噂されているのが、習近平主席の側近・王岐山氏です。海外メディアではHNAが、トランプ政権中枢にまで買収の手を伸ばし、党幹部の資金洗浄にも深く関与しているなどと、まことしやかに報道されました。
そんな折に、資金繰り悪化による経営危機が表面化し、創業者の一人、王健氏が南フランスで不審死を遂げたので、彼を邪魔だと考える者たちによって、「自殺」させられたのではないかとか、米国に内通したために消されたのではないかとか、様々な憶測を呼んだのです(日経ビジネス2018年7月11日に詳細な報道がありますのでご興味のある方はご参照ください)。今では、家族の安全と財産の保障をする代わりに秘密を抱えたまま事故を装って、自ら命を絶ったというのが事実に一番、近いと考えられているようです。
私も興銀上海支店に勤務していた1990年代から、この会社を知っていました。当時は海南島が広東省の一部から5番目の経済特区として独立して海南省となり、不動産投機が盛り上がっていた時期です。本土では廃止となった外国投資企業の設備免税がまだ、享受できるとして自動車のマツダさんが進出し、住友銀行が支店を開設したりしていました(今は廃止されています)。
私は当時、銀行で上海市以外の地域を担当する営業課長でしたので、ちょくちょく、海南島には出張していました。HNAは当時から、地場銀行からの巨額の借入金を遅延させているのに、そんなことにお構いなくどんどん、お金を借りまくっている謎の企業として地元では有名でした。正直、その当時、出張で海南航空に乗りたいとは一度も思ったことがありません。
ところが最近ではHNAのサービスは飛躍的によくなっています。小説の中では主人公の一人・加賀俊彦がパンダ航空のCAにドキドキするシーンがありますが、HNAの機体は新しく、CAの機内サービスも非常に洗練されています。たまたま、あるプロジェクトを通じて経営再建中のHNAの幹部に話を聞く機会があったのですが、HNAではCAは1年に必ず、成績下位者15%を強制解雇する制度を取っているので、CAが容姿端麗でサービスレベルも世界トップクラスだと、豪語しておられました。
海南島は「黒竜江省海南県」と揶揄されるほど、東北三省からの移住者が多い地域です。海南島に古くから住んでいる人々は勤務態度が良くなく、業務知識向上意欲も少ないとして、海南島に進出する企業の多くは移住者を採用する傾向が強いと聞きます。私の中では成都も遊び人が多いイメージがあり、小説の中でもそんな書き方をしています。
HNAは現在、破産申請中です。債務額は19兆円と言われます。よくまあ、短期間でそれほどの借金ができたものだと感心していまいます。「小説 デジタル人民元」では、パンダ航空創業者のシャイロックが、デジタル通貨「パンダコイン」を発行しようとして中央政府の逆鱗に触れた、といったストーリーを用意しています。
航空公司是影子银行?
在《小说 数字人民币》中,总部基地位于四川省成都,主宰中国黑暗的影子银行 “熊猫航空”登场了。
熊猫航空不仅经营航空业务,还涉及房地产、度假村开发,然后通过金融杠杆实现事业多元化,最终成为全球最大的非银行金融机构。而支持这一根基的就是与中央政府的铁杆关系。但是,随着金融当局加强对影子银行的监管,经营危机一下子浮出水面。创始人在巴黎离奇死亡,一家与熊猫航空关系密切的日本巨型银行和大型企业受到了巨大的冲击和混乱、、、故事就此展开。
如果是熟悉中国的读者,马上就能想象到“熊猫航空的原型就是海南航空”。(当然小说里的故事均属虚构,跟海航毫无关系)
海航创立于1989年,在1995年,美国投资家乔治·索罗斯(George Soros)入股后,知名度瞬间上升变得众所皆知。
此后,海航从航空主业开始多元化经营,形成了一个庞大的企业集团。据称是德意志银行和希尔顿饭店等知名海外企业的最大股东,其海外资产超过120亿元,国内外的子公司超过450家(小说中收购法国航空公司的情节,这也是海航实际使用的方法)。
在海航的快速发展背后,有传闻说是得到了国家高层领导人的支持。外媒报道称,海航曾向特朗普政权的核心人物伸出了贿赂之手,并深入参与了党内官员的洗钱活动。 此时,随着资金链断裂导致的经营危机浮出水面,海航创始人之一的王健在南法离奇死亡,引发了”是不是因为他知道得太多而“自杀”、”是不是因为他私通美国而”消失”等各种猜测(Nikkei Business 2018年7月11日有更详细报道,有兴趣的人可以参考)。如今,似乎最接近事实真相的是,他为了保障家人的安全和财产跟幕后人进行交易,抱着秘密伪装意外自杀。
1990年代我在上海工作时,就知道这家公司。当时海南岛从广东省独立出来成为海南省,为第5个经济特区,那时正是房地产投机的热潮时期。因为仍然可以享受在中国本土已废止的外商投资企业的进口设备免税政策,因此日本汽车制造商马自达进驻该地,住友银行也在那里开设了分行(现在已经废止)。
当时在银行我是负责上海市以外地区业务的营业科长,所以经常会去海南岛出差。海航在当时就已经拖欠当地银行借来的巨额贷款,但却毫不在意地继续借钱,是个神秘的企业,在当地非常有名。说实话,当时出差的时候我从来没有一次想过要搭乘海南航空。
但是最近海航的服务有了明显的改善。小说中,有一个场景是主角之一的加贺俊彦对熊猫航空的空姐怦然心动。海航的机型都非常新,空姐的机舱服务也面面俱到。我参加过海航的重组项目,碰巧有机会和海航的董秘交谈,他毫不掩饰地告诉我,海航有一个制度,每年有15%的表现最差的空姐会被强制离岗,所以空姐不仅都秀丽端庄,服务水平也是世界顶级的。
海南岛是东北三省移居者较多的地区,经常被说是”黑龙江省海南县”。听说,在海南岛的大部分企业都不想雇用海南本地人,因为长期生活在海南岛的人没有良好的工作态度,也没有什么意愿去提高自己的业务知识。在我的印象中,成都也有很多游手好闲的人,我在小说中也是那样写的。
海航目前正在申请破产。据说债务额是19兆日元。嗯,在这么短的时间内竟然欠下了那么多钱,本事真大呀! 小说《数字人民币》的开头是熊猫航空创始人夏洛克试图发行数字货币”熊猫币”,却在巴黎意外死亡。他的死惊动了全世界,尤其是跟熊猫航空有密切合作的日本的巨型银行和大型企业……。